関連タグ:
ふぐり屋 『その花びらにくちづけを 二人のバカンス+二人の熱い夏』 感想

「二人のクリスマス」につづく、『その花びらにくちづけを』シリーズの外伝小説本
>紗良&楓のアフターストーリー「その花びらにくちづけを 二人のバカンス」
>玲緒&麻衣のアフターストーリー「その花びらにくちづけを 二人の熱い夏」
読みました。メロンブックスで予約したので、メッセージペーパー×2ももらいました。
期待どおりのイチャラブ度で、ぺこ絵もエロ可愛くて、夏バテ気味の心と体に、よい栄養もとい百合分補給になりました。
内容はといえば、夏休み──楓&紗良は南の島でバカンス、麻衣&玲緒は軽井沢の別荘でバカンス……
なんだかんだ言っても、さすがはお嬢様学校に通う人々だけあって、ブルジョワな夏休みだw とはいえ、そこに行き着くまでにいろいろと事情があったり、旅先でも思わぬ出来事に遭遇したりしているのだが。
『その花びらにくちづけを 二人のバカンス』は、変身後(?)の楓×紗良のHシーンがあってよかった。ちょっと意地悪かつ大胆になった楓ちゃんの、ソフトな言葉責めがたまらない。
この二人は、お互いに影響しあっているというか、磨かれあっているのが、かなりいい感じの関係だ。「人気モデルのイトコと同棲」ってのはそうそうお目にかかれないシチュだろうが、内気な楓が紗良の影響をうけて変わっていく描写には、何か共感できるものがある。
『その花びらにくちづけを 二人の熱い夏』は、玲緒視点なのがすごくツボったw 玲緒はおバカで可愛いなぁ。普段、生意気な口をきいているのとは裏腹に、麻衣のちょっとした言動で動揺したり、ぬか喜びしたり、くよくよしたりしている様が描かれていて萌えた。
麻衣の気持ちがはっきりしているだけに、焦ったり不安になったりしてしまう玲緒の空回りも、むしろ可愛くてならない。麻衣が少し鈍感だから、余計に玲緒のリアクションがおもしろいんだろうな。
ちなみに、公式サイトのお知らせコーナーを見ていたら、次回作は優菜&七海編のドラマCDなのだそうで。冬コミはまだ先だけど、楽しみ。
OVA 『舞-乙HiME Zwei』 第4巻+『舞-乙HiME 0 〜S.ifr(シフル)〜』

脚本:吉野弘幸
絵コンテ・演出:小原正和
作画監督:久行宏和(キャラクター)・大塚健(メカ)
世界各地に出現した、旧時代の惑星殲滅用兵器・ユナ。サブユニットであるチャイルドを孵化させ、より強い力を得て、すべてを破壊するという。
ヨウコいわく、「あまりの強力さに、作り手も扱いかねて、宇宙に投棄したのではないか」とのこと。
そのユナが真祖フミを取り込んだため、孵化したチャイルドは、攻撃してもすぐに復元してしまう。ナギから情報を得たナツキは、その真祖との接続を切る──ただし、120秒間だけ──ことで事態を打開する、という作戦を決行する。
「惑星最強の究極存在」に笑った。つまり、宇宙に投棄された強力な兵器が、隕石とともに降ってきちゃったのが事の発端だったということか。
OVA最終巻としては駆け足ぎみの展開。シリーズとしては、出来がわるいわけではないものの、大味。個人的には、冷めつつある舞-HiMEプロジェクトへの思いが再燃、というところまではいかなかった。
一見、きれいにまとめたようでいて、その実、散漫な印象が残る結末。いろいろと詰め込んだ結果、投げっぱなしというか中途半端になっている面もあるが、つまるところ、何がやりたかったんだろう……『舞-乙HiME』で描ききれなかった部分の補足、という位置づけだろうか。それにしては、あまりすっきりしないのだが。
とはいえ、ひとつひとつの要素でいえば面白いものもあったので、一概には言えない。
最終巻でいえば、やはり真祖フミさまとチャイルド・マシロの登場、そして舞衣VS. カグツチが見どころ。とりわけ、舞衣とカグツチとの対決シーンには興奮した。やはり舞衣はカッコいい!
また、ニナが、リボンちゃんの言葉に心を動かされ、戦うことを決意する場面もよかった。
「もう二度と、同じ間違いはしない。あなたには未来をあげる」
声優が同じというのもあるが、ニナがリボンちゃんにエルスの面影を見ているからこそ、見かけ以上の意味をもつ言葉。ヴィント事変で、ニナが背負ったものは重すぎたね。
さて、DVDには舞-HiMEプロジェクト・新シリーズの予告映像も収録されている。タイトルは『舞-乙HiME 0 〜S.ifr(シフル)〜』( 公式 )。
『舞-乙HiME』の過去編にあたる内容であり、アリカの母親・レナが主役? また、今回、初回特典としてドラマCD化された『舞-HiME★DESTINY 龍の巫女』の主役である真夜としおん「っぽい」キャラも、登場するようだ。
また、監督が、小原氏から、キャラクターデザインを手がけてこられた久行氏に変更。監督交代について、久行氏は初監督ということだが、どんな経緯での交代なのだろうか。
まぁ、個人的にはおもしろいんじゃないかと思いますよ。新味が出るかもしれないし、話題性はある。脚本の吉野氏が続投なら、よくもわるくも、作風がガラッと変わるといったようなことはないとも考えます。
![]() | 舞-乙HiME Zwei スペシャルパッケージ 4 (最終巻) 監督:小原正和 発売日:2007/08/24 参考価格: 価格:5,712 OFF : 1,428 (20%) |
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第21話 「決戦」 感想

絵コンテ・演出:園田雅裕
作画監督:石山寛
絶体絶命っぽい人が多すぎ。しかも、こんな引きは勘弁してくれ……
とくにヴィータ。ここまで前のめりな人だったっけ? どう見ても、この局面で「一機のこらずブッ壊してやるっ!」は無謀すぎると思うんです。
ユーノの調査によれば、失われた世界・アルハザードからの流出物との説もある「聖王のゆりかご」。
想定しうる最大の危険は、それが軌道上に到達すること。ふたつの月の魔力をうけられる位置をとることで、きわめて高い防御性能の発揮と、地表への精密狙撃や、魔力爆撃が可能となる。のみならず、その性能が完全に発揮されれば、次元航行隊の艦隊とも、正面から渡り合えるかもしれない……
つまり、聖王のゆりかごが軌道上へあがる前に、とめなければならない。
対抗策としては、鍵となる聖王がそれを命じるか、本体内部の駆動炉を止めること。
聖王のゆりかごの外で、戦闘の指揮にあたるはやて。そんな中、内部への突入口が発見され、なのはとヴィータは、本体内部へ突入。駆動炉と玉座の間が、真逆に位置していることが判明したため、ヴィータの判断によって、二人は別行動を開始する。
一方で、スカリエッティの逮捕を目的として、彼のアジトに突入したフェイトとシャッハ。戦闘機人とガジェットとの攻撃により、いったん離される。フェイトは自分を「フェイトお嬢様」とよんで近づく戦闘機人に対し、その目的を告げ、ヴァルディッシュで応戦する。
廃棄都市で、中央本部の制圧にむかう召喚士と戦闘機人とを、迎え撃とうとする新人たち。しかし、ルーテシアを発見したキャロは、エリオとともにそちらへむかう。戦闘機人たちに対処しようとしたティアナとスバルは、しかし分断される。ティアナは、結界で建物内に閉じ込められ、戦闘機人たちを相手に明らかな劣勢。そのうえ足を負傷までしてしまう。一方のスバルは、ギンガと遭遇し、「必ず助ける」と立ち向かう。
要するに、三手に分かれてそれぞれの任務にあたったのはいいが、そこでさらに分断されて、結果として各自が孤立してしまっているという非常に嫌な状況。とりわけ、普通の人間ならば致命傷となる傷を負ったうえ、さらに絶体絶命の状況に陥っているヴィータ。そして、命綱ともいうべき足を負傷し、依然として三人もの戦闘機人+ガジェットを相手に、その場をしのがなければならないティアナの運命は……
まさか死なないとは思うが。死なないと思う。死なないよね?
窮地に陥ったティアナが、スバルの無邪気な笑顔を、つぎつぎと思い浮かべていく場面。
あれ? スバルってこんなに可愛くて、キラキラしてたっけ? てかティアナさんは一体、スバルをどんな目で見ているんですか?
たいへんよいツンデレっぷり。だが、よりにもよってその状況で、走馬灯チックなイメージ映像を流すのはやめてほしい。「これは……むり、かな……」って諦めるな! きっとスバルが助けに……しかしスバルは、ギンガを前にして、最愛の姉を助けたいという思いだけが頭を占めている。これは……もはや、ティアナの持ち前の機転に賭けるしかないのかもしれない。
この流れでいくと、クライマックスまでひたすらバトルバトルバトル……な展開もアリか? 今回は、ちょっと作画が追いついていない感もあったが、そこを持ち直して、熱い展開を繰り広げてくれることに期待! あと、やたら男前のフェイトさんにも期待!
関連タグ:
アニメ
魔法少女リリカルなのは
エル・カザド 第21話 「羽ばたく女」 感想

脚本:川崎ヒロユキ
作画監督:毬雄一
絵コンテ・演出:有江勇樹
演出と脚本と音楽とがきれいにかみ合って、個人的には屈指の回。ひと言でいえばうまい。
組織の命令で、ナディを狙撃しようとするブルーアイズと、狙われていることを知らずに、暢気に鳥をつかまえるナディとエリス──その緊張と弛緩をメリハリとしつつ、ほとんど会話と情景描写とだけでクライマックスまで引っ張ってしまった話なのだが、なんとも切ないというか美しい印象を残す。
「議長」からブルーアイズへ、ナディの抹殺命令が下った。それも、ブルーアイズ自身が直接、遂行すること、との条件つきで。
組織の上層部は、ブルーアイズがエリスの捕獲作戦を故意に引き延ばしているのではないか、と疑っているらしい。その真偽を確かめるために与えられたのが、今回の任務だ。
そんなこととはつゆ知らず、ナディとエリスは、山で鳥をつかまえようと奮闘していた。村の詐欺師から、ペテンにかけられているのだ。
そんなナディを狙撃するべく、ライフルを手にして機をうかがうブルーアイズ。だが、何かと邪魔が入って、なかなか任務を遂行できない。
一方、ナディたちのほうも鳥をつかまえることができず、身を隠した洞穴の中で、時を過ごしていた。二人の暢気なやり取りに、ひそかに耳を傾けるブルーアイズ。エリスは、自由に空を飛ぶ鳥の姿に、気ままな賞金稼ぎであるナディの身の上を重ね合わせている。
とうとう、首尾よく鳥をつかまえた二人。同時に訪れた絶好のチャンスに、ブルーアイズもナディに照準を定めるが、エリスが邪魔で引き金をひけない。そんな中、エリスは、せっかく捕まえた鳥をまた逃がしてしまう。「飛んで!」というエリスの声に応えるように、鳥は空へ羽ばたく。
そして迷いをたちきったブルーアイズは、ナディの抹殺命令を放棄し、魔女の末裔としてウイニャイマルカを目指すと決心する……
心情描写が中心の話は、要約するのが難しい。エリスが逃がしてやった鳥が飛びたつ場面では、少し泣きそうになってしまった。
あの場面は、ブルーアイズの心に訴えかけるとともに、エリスのこれまでの軌跡を、見事に昇華させる場面でもあったと思う。エリスは、自由に羽ばたく鳥の姿に憧れつつ、そこにナディを重ねていた。だから、せっかく捕まえたのを逃がしてしまったのだ。必死で逃げる鳥と、間抜けな走り方でそれを追うナディ。その姿が、交互に繰り返し映し出され、オーバーラップしていく中、「飛んで!」と呼びかけるエリスの声。その声がブルーアイズの心をうつのも、そこにエリスの切実な思いがあったからこそ。そうして三人に見守られながら、鳥は飛びたつ。
ブルーアイズは魔女の末裔なのだが、エリスと違って力は使えない。組織に属し、その歯車のひとつとして生きてきた彼女は、同じ魔女のエリスとではなく、むしろナディと対比される存在だ。
とはいえ、ナディが自分で言うほど自由気ままな身の上かといえば、そうでもないだろうと私は思う。そこには代価があるはず。それに、たとえ自分では自由だと思っていても、実は、大きくて見えない何かの歯車のひとつにすぎないこともある。いずれにせよ、そう簡単に、人は自由には生きられない──ローゼンバーグの独り言と、ブルーアイズの言葉とからくる後味の悪さも、そんなふうに解釈できる。
かといって、たんに誰かの掌で踊らされているだけだとしても、鳥を逃がしたエリスの思いまでが嘘になるわけではない。
ところで、ブルーアイズの立ち位置は、独特で面白い。特徴的なナレーションの印象が強いのだが、ナレーションとは、ストーリーに対して基本的に「俯瞰」の視点をとるはずだ。それでいて、彼女は物語の登場人物のひとり。つまり、局在している。ローゼンバーグのように、陰で糸を引いているわけでもない──それなら、ブルーアイズはどこにいるのか?
『エル・カザド』の物語じたいがブルーアイズの回顧によるものだとすれば、この二重性は解決してしまうが、それにしては予言的・回想的なセリフがなんにもない。第一、作中のブルーアイズが知りえなかったはずのことにまで、ナレーションでは言及している。とはいえ、ブルーアイズは魔女だから、何か少しくらい不思議なことがあってもかまわないような気がする。
今回も、ナディとエリスはラブラブ……というより、もはやバカップル? その恥ずかしいやり取りには、盗聴しているブルーアイズも呆れ気味だ。私も恥ずかしかった。でもこれはしょうがないだろう、二人きりだと思って油断しきっているんだから……
逆にいえば、二人きりのときはいつもあんな雰囲気なのかと問い詰めたくなってしまうが。
ナディ「でも、行き先なんてどこだっていいの。ただし、一人旅だけはナシ。『誰か』が一緒じゃないとね(エリスを見やる)」
エリス「『誰か』って、私のこと?」
ギャーそんな恥ずかしいこと率直に訊くなよ! と思ったのもつかの間、後に続くやり取りで私は、バカップルの真髄を見せつけられたのであった。は・ず・か・し・い・って・き・も・ち・い・い!
ブルーアイズからは「お世辞にも、建設的な人生とはいえないわね」と評されたナディだが、これという目的がなくても、可愛い嫁がいて手に職もある、いったい他に何がたりないというのか?
| テレビアニメ『エル・カザド』DVD Vol.2 監督:真下耕一 発売日:2007/08/22 参考価格: 価格:4,568 OFF : 1,522 (25%) |
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第20話 「無限の欲望」 感想

絵コンテ:静野孔文・杉山正樹
演出:中山敦史
作画監督:阿部智之
起動・発進する「聖王のゆりかご」。大量のガジェットを伴い、市街地の上空に出現する。
「聖王のゆりかご」をロストロギアと認定し、対応に追われる時空管理局。機動六課も三手に分かれ、「聖王のゆりかご」・スカリエッティのアジト・地上本部へむかう戦闘機人──それぞれに対処するべく出動する。
スカリエッティの暴走。レジアス中将とともに、その責任の一端を担うはずの「最高評議会」とは、旧暦時代にバラバラだった世界を平定したという、三人の功労者たちのこと。その役目を時空管理局に託したのちも、肉体を捨て、生きながらえてきた。しかし実のところ、地上平和を願い、世界を見守ってきたはずの彼らこそが、スカリエッティを生み出し、育てた張本人でもあった。
と、あらすじを書いていても、実はなんだかよくわからない。何がわかっていて、何がわからないのかもよくわからない。
聖王というのは、聖王教会の主神であり、古代ベルカの王。聖遺物というのが、その王の持ち物や、遺骨などのこと。聖王教会から流出した聖遺物より採取された、聖王の遺伝子情報から生み出されたのがヴィヴィオ。スカリエッティは、「聖王の器」であるヴィヴィオに「聖王の証」たるレリックを移植することで、「聖王のゆりかご」の起動キーとした。こういう理解でいいのかな?
そのスカリエッティのルーツが、最高評議会にあったということもわかったが、「アルハザードの遺児」ってどういうことだろう……アルハザードというのは、フェイトのママがダイブした不思議世界だよね。
ともあれ、スカリエッティの異様な人物造形にかんしては、一応の説明がつきそうだ。というより、彼を含む現在の事態を招来したのがまさに、時空管理局と聖王教会、という流れなんだな。
決意を胸に、それぞれの戦いへと赴く六課の面々。
フェイトがスカリエッティのもとへ向かうというのは、経緯からすると少し不安になる。過去の因縁を断ち切り、あっさり倒してしまう可能性もあるが……
お互いを心配し合って、はやてたちを呆れさせる、なのはとフェイトの夫婦ぶりがいい。
フェイト「私が……私たちが、いつもどれくらい心配してるか!」
とさり気なく言い直したフェイトに向かって、その真意を知ったうえで「ヴィヴィオを連れて、一緒に元気で帰ってくる!」と約束するなのは。
また、それに続くモノローグには、素直に燃えました。
エル・カザド 第20話 「囚われた女」 感想

脚本:金巻兼一
作画監督:佐々木睦美
絵コンテ・演出:澤井幸次
ヒィ〜次の放送に間に合わなかった! 最近、時間に追われてもうグダグダですorz
放送じたいは、できるかぎりリアルタイムで見るようにしているんだけどなぁ。むしろ、近頃では一番の楽しみになっているかもしれない。
考えてみれば、『エル・カザド』ももう残すところ6話、というところまできているんですね。
私は長丁場に弱いのか、全26話のアニメでは、盛り上がりのピークが中盤、最終回が近づくにつれてテンションが下がっていく……というパターンが多い。が、この作品の場合は、まったりした雰囲気のためなのか、むしろテンションがじわじわと上がる一方。
あと6話で終わってしまうなんてもったいない。ナディとエリスのまったり二人旅を、もっと見ていたいんだ。
この展開であと6話……本編が正味120分と考えても、長めの映画1本分の尺はあるわけだから、ストーリーに収拾をつけるには十分とも言えるのだが、はたしてどうまとめてくるのか?
さて、今回、冒頭で警察に捕まってしまったナディ。警官から銃を突きつけられたナディを見て、エリスの力が発動しかけるも、リカルドの機転によって、エリスだけは難を逃れる。
その警察を裏で操っていたのは、前回、ナディとエリスの仲の良さを見せつけられて、嫉妬に燃えるL・Aだった。L・Aを恐れる警官たちは、ナディを留置場に放り込むと、彼に引き渡すためにエリスの捜索を再開する。
一方、リカルドの制止を聞かず、ナディを助けにいくと言い張るエリス。その様子を監視していたブルーアイズは、エリスの成長ぶりを実感する。
夜になり、ナディを助け出すべく、警察署へ乗り込むエリスとリカルドたち。だが、L・Aはすでに警官たちを殺してしまっており、ひと足はやく、ナディの前に姿を現していた。
L・Aの攻撃に追いつめられたナディを、寸でのところでかばったエリスは、「ナディを傷つけたら許さない」と怒りを露にする。それを聞いたL・Aは、ナディが組織に雇われ、監視するためにエリスに近づいたことを暴露する。前回、自分を拉致した女たちのことを思い出し、その「組織」の存在に思い当たって動揺するエリス。
だが、結局はエリスの心が揺らがなかったのを見て、L・Aは失意とともにその場を立ち去る。助けてくれたエリスに感謝するナディと、その一方で、ひとり涙にくれるL・A。
ここへきてなぜかL・Aのターン! 退場するなり、爆弾投下でナディとエリスの関係に亀裂を入れるなり、エリスをすっかり諦めるなり、何らかの新しい展開があるのだろうか……
しかし実際には、そのどれでもなく、つまりは「つくられた生命であるエリスが、その心をもってナディに執着するように、L・Aもまたエリスに対してそうしている」ということ。もっといえば、おなじ人工の魔女であり、同じように心を宿したエリスとL・Aとの対比を描いている。
一方的にうけとるだけの関係はフェアではないということに、すでに気づいているエリス。ナディはいつも私を守ってくれる、でも私は何もしてあげたことがなかった、だから今度は自分が助けにいく……そう言って、リカルドの前で涙を流す。
人が支え合ったり守ったりするのは、L・Aが嘲笑するように、弱さゆえ……というのみではないはずだ。そのことを知り、ナディとの絆を強めているエリスと、ラストでシャボン玉を吹きながら泣いているL・Aとは、確かに、残酷なまでに明暗が分かれている。L・Aのその姿は痛々しくて、私はあまり笑えなかった。
L・Aというのは、エリスの「こうありえた」というネガティヴな可能性を、照射する存在でもあるのだろう。人を好きになること、支え合ったり守ったりすることによって、エリスは落とし穴から脱しえたという、その落とし穴のほうの可能性。
ただ、何かちぐはぐなエピソードという印象がぬぐえないのは、おそらく気のせいではない。
「己がリビドーに身をまかせ」すぎ、終いには股間に放火されたり、また全裸でシャボン玉を吹いたりしているキャラに対して、悲哀みたいなものを印象づけようとしても少し厳しいだろう。それでもやはり可哀想だとは感じたが、こういう話をもってくるなら、いっそのこと真正面からやればいいのにと思ってしまった。
L・Aの目の前で、お互いの名前を呼びながら抱き合うエリスとナディの場面なんて、もはや笑うところだ。もうやめて! とっくにL・Aのライフはゼロよ!
ただ、あくまでもウイニャイマルカへは連れていくというあたり、L・Aにもまだ何らかの勝算があるのかもしれない。
ナディはナディで、組織との関係をまだエリスに明かしていなかったのか……と意外に思いはしたものの、まぁ言い出しづらい話ではある。たんに「隠し事をしていてごめん」という話ではなく、組織を裏切ったことに対する説明なんかは、エリスを前にしては難しいものがあるだろう。ただ、三部作随一の甘々な百合っぷりを見せてくれるわりに、意思疎通がいまいちうまくいっていないのは火種のもとではなかろうか。
とはいえ、この人たちの関係にはもう、ちょっとやそっとじゃ割り込めなさそうな雰囲気がある。絆を再確認した後で、エリスの寝顔を見つめるナディの表情と、寝言でまでナディに語りかけているエリスに、胸がキュンキュンしちゃうんだぜ。
「ナディがいないと、熱い……」に激しく反応してしまった私はもうダメだ。
関係ないが、ナディとL・Aが対峙する場面での、ローアングル・上下反転→ワイヤーを構えるL・A──という画面が何かカッコよかった。13話で見たときは、こんな奇をてらった構図はイヤだと思ったのに、私は調教されているのか?
ただ、L・Aはワイヤー使いのくせに、どうしてナディの服を切り刻まないのかと、そこは激しく疑問。ブルーアイズもエリスも、あろうことかLAまでもが全裸を晒したというのに、ナディだけ脱がないって差別じゃないか? 毎週、EDで脱いでいるといえばそうだが……
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第19話 「ゆりかご」 感想

絵コンテ:大森英敏
演出:宮崎修治
作画監督:清水慶太
この展開はある程度、予想できたこととはいえ、なのはの顔の怖さが予想外。泣いたり怒ったり……といえば、19歳らしい青春模様のようでありながら、それがなのはだと、後が恐ろしくて嫌な汗をかいてしまう。
壊滅した機動六課の新たな本拠地として、艦船アースラに乗り込んだ隊員たち。
本局の介入を嫌う、地上本部の強硬な姿勢はあいかわらずだ。しかし、はやては、ロストロギア・レリックの捜索という名目を立てることで、スカリエッティ一味の追跡と、さらわれたヴィヴィオとギンガとの救出にあたる──という策を講じた。後見人たちへの根回しも万全だ。
反撃への態勢を着々と整えていく、六課の面々。
しかし、敵の動きもまた早く、ナンバーズによって「アインへリアル」が襲撃・制圧される。追跡を開始するアースラ。そこへ、時をおなじくして、ヴェロッサから、スカリエッティ一味のアジトを突き止めたとの報せが入る。
ナンバーズ、そしてゼストたちが、地上本部へ向かっているという予断を許さない情勢。そんな中、廃棄都市にあらわれた戦闘機人たちのモニター映像に、姉・ギンガの姿を発見し、驚愕するスバル。
そして、スカリエッティのアジトの付近から、スカリエッティいわく「古代ベルカの悪魔の兵器」たる「聖王のゆりかご」が出現する。その動力源として使われているらしい、玉座につながれたヴィヴィオの姿、そしてその悲鳴に、激しい衝撃を受けるなのは。
言葉どおり「わが子のように」、可愛がっていたヴィヴィオが泣き叫ぶ様を、目の当たりにしたなのは。拳を握りしめ、怒りに震える姿が痛ましい。
何か、いろんな意味でえげつない描写だ。ヴィヴィオの、幼い年齢と容姿がそう思わせるのだろうが……といっても、無印ですら、幼いフェイトが鞭打たれるといった場面があったのだから、とりたてて言うほどのことでもないのかもしれない。
言うべきことがあるとすれば、まさにその場面で哄笑するという、スカリエッティの人物造形のほうだろう。
過去作においては、敵側の描写もわりかし同情的なものであったり、それぞれに譲れない事情のために戦っているのだと示唆されたりして、「敵を『一面的な悪』としては描かない」という姿勢が一貫してあったように思う。
それが今回は、やたらと演技過剰で、「こちら側に引き寄せる」ような見方を拒否する敵キャラとして描かれているスカリエッティ。彼についても今後、そのルーツを説明するような描写なりイベントが用意されているとは思うが、もし単純な善悪二元論におちこんでしまった場合には、それは何か後退のように私は感じる。とりわけ今作は、個人の集まりではなく組織的な対立なので、その危険は大きいかと思う。
とはいえ、そのスカリエッティと通じている人間が管理局の上層部にも存在していたり、あまつさえ、ヴィヴィオやギンガのように身近で親しい存在までもが「向こう側」へと取り込まれてしまう……つまり、こちら側へ引き寄せる以前に、敵と味方の線引きが曖昧になっているのは事実。スカリエッティ一味もまた、けっして一枚岩としては描かれていない。
関連タグ:
アニメ
魔法少女リリカルなのは
エル・カザド 第19話 「守る男」 感想

脚本:西園悟
作画監督:肥塚正史・門智昭(メカ)
絵コンテ・演出:川面真也
第15話の感想にて、
>手つなぎ(7話)→抱擁(13話)→急接近(今回)ときたら、次はもうわかっているよね?
などと生意気なことを書いてしまってスイマセンでした。ええ、正直、夫婦とかもうね……こっちがわかるわけねぇ!
エリスが、アミーゴ・タコスの仲良し夫婦を羨ましがっていたのは、私も印象に残っていたけれど、それがここでこうくるとは……妄想をすらしのぐ百合展開でしたね。
旅をつづけるナディとエリスは、偶然、車が故障したためにヒッチハイクしていたリカルドとリリオとを拾う。
同行した修理工場にて、ナディとリカルドは夫婦と間違われ、あまつさえディナーのチケットまでプレゼントされてしまう。心外な出来事とはいえ、久々のリッチな食事を、ナディがフイにするはずもなく……えりすのはーとに、あついじぇらしーのほのおがもえあがるのだった。
レストランへやってきたナディたちだが、エリスはリリオとともに、ナディとリカルドとは別のテーブルに案内されてしまう。リカルドとの食事を楽しむナディの様子をみて、ただでさえ不機嫌だったエリスは、さらにむくれてしまう。
だがむろん、この展開は、エリスを「保護」しようとするブルーアイズのお膳立てである。レストランには彼女の部下が潜入しており、二度にわたって店内を停電させるが、すぐにリリオのもとへ駆けつけるリカルドが邪魔で、その傍らのエリスに手を出せない。一方でエリスは、リリオを守るリカルドのようには、自分のところへ飛んできてくれないナディに寂しさを覚えていた。
結果として、リリオをエリスのテーブルから離すことで、エリスの拉致に成功するBレディたち。ナディはリカルドの運転で、エリスを連れ去ったブルーアイズの車を追跡し、ついに追いついて「エリスを返して」と迫る。銃を手にするナディとブルーアイズ、一触即発──
まさにそのとき、気を失ったままのエリスの力が発動。車外へと投げ出されたエリスを、しっかりと受け止めるナディ。エリスはただ、ナディがきてくれたことを喜ぶ……
ラスト。すっかり浮かれて、ナディにべったりくっつくエリス。
エリス「夫婦に見える?」
ナディ「は?」
エリス「なかよし夫婦!」
ナディ「夫婦は男と女」
エリス「ん……いいの!」
ナディ「あの、(くっつかれたままで)運転しにくいんですけど」
エリス「(ガン無視)」
ナディ「まっ、いっか!」
いいのかw
さらに、エリスのやきもちにようやく気がついたらしいナディから、そうと指摘され、そっぽを向いて「ちがうよ」と嘘をつくエリス。そうと知りつつも笑って流し、車を発進させたナディに、その肩にもたれかかったまま「えへっ」と微笑むエリスのほっぺたは、ほんのり赤い……
よし、お前らもう結婚してしまえ。私を悶死させた罰として、法改正されたメキシコシティへGOだ!
今度ばかりは本当に萌え死んだ。ナディ大好き光線だだもれで、嫉妬にむくれたり、不安がったり、頬を染めたりするエリスが可愛すぎるんだ。ナディはナディで、格闘にも強いところをみせつつ、エリスを心身ともにがっちりとキャッチしてくれちゃうし、なんかもうたまらん!
ナディの手がエリスの手をつかむ場面は、二人の関係の比喩的表現にもなりえていたと思うんだ。一言でいえば、ときめきがとまらない。
さて、ストーリーにおける位置づけでいえば、前回のエピソードを受けて、それに対応する回ということになる。
「子どもには、色でいえば白と黒しかないんだ。つまり……」
「好きか、嫌い」
前回、リカルドとナディのそんなやりとりをなぞるように、自分の心のありかを知ったエリス。それが、異空間で出会った幼いナディとの交感という、抽象的な表現によって描かれていたとはいえ、エリスの中では、リカルドのいう「白と黒」にはすでに決着がついている。
だが、それならナディはどうなのか? エリスの心に芽生えた嫉妬が、その疑いによって不安に変わる。エリスにとっては、そこにもやはり「白と黒しかない」。
「どんなふうに好きか?」や「どのくらい好きか?」という問い方もあるのだろうが、さしあたり、エリスには関係のないことのようだ。たとえば危ない目にあったとき、一番に自分を心配して、助けにきてくれるかどうか。さらわれれば取り返しにきてくれて、つまりは自分の存在が、ナディから必要とされているかどうか……
ひと口にいってしまえば、「ナディが好き。だから、ナディにとっても私が一番じゃないとイヤ」、こんな思考だろうか。ブルーアイズが以前に言った「執着」という言葉こそがぴったりで、その盲目的な愛着は、やはりインプリンティング的にも感じる。なぜなら、エリスにとって、「好き」というのはただひとつしかないもの。白か黒か、表か裏か……そこに感情の機微といったものはなく、黒っぽい灰色やグラデーションなどは存在しないも同然のようにみえるから。
そこが、緩やかな変化をたどって「エリスを守る」という今の決意にいたったナディとは、違う点だと思う。
どことなく「親鳥と雛」を連想してしまうなどといったら、夫婦だと主張するエリスに燃やされてしまうかもしれない。
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第18話 「翼、ふたたび」 感想

絵コンテ:櫻井美知代
演出:笹木史郎
作画監督:鈴木佐智子・清山滋崇
新OPきた! シリアスな雰囲気で、なかなかカッコいいです。とくに、フェイトが凛々しくて嬉しいかも。
なのはとヴィヴィオの関係を強調する一方で、スバルがずいぶんと主人公っぽく描かれている。今後、誰が主人公というよりは、シリーズを通じてこの作品がもともともっている、群像劇としての色がより強まるとみた。
もちろん、「大切なものを取り返したい」という点で重なる、なのはとスバルの戦いに焦点があたるのは間違いないだろうけれども。
あらすじ:
ヴィヴィオとギンガがさらわれ、機動六課の隊員たちも傷を負った、テロ事件の翌日。状況の報告を受けた後も、普段と変わらない様子で、事後の対応にあたるなのは。
シグナムの計らいで現場を抜け出し、病院へ見舞いに訪れたティアナ。姉をさらわれ、みずからも傷ついて落ち込むスバルを励ます。さしあたって、六課の任務はレリックの捜索から、スカリエッティ一味の追跡へと変更されるだろうとのこと。そうなれば、チームでギンガたちの救出に向かうこともできるはずだ、と。
スバルの父・ゲンヤは、なのはたち機動六課の面々とその関係者に対し、戦闘機人事件と、そこに深くかかわる自分たち一家とについて、説明していた。スバルとギンガは、今は亡き妻が捜査官として、事件の追跡中に助けた、戦闘機人の実験体だった。それを引き取り、自分たちの子どもとして育ててきたのだ。
一方、テロ事件での失態にも、めげることはないはやて。レジアス中将の副官・オーリスに対し、中将がスカリエッティと通じて、戦闘機人や人造魔導師の量産計画を秘密裡にすすめていたのではないかという疑いをぶつけていた。だがオーリスは、聴取や捜査に必要な文書をそろえてきてからだと突っぱねる。
当のレジアスは、これまで重用してきたスカリエッティに裏切られ、窮地に立たされていた。
夜、ひとりでヴィヴィオの身を案じていたなのは。そこへやってきたフェイトに、「今すぐにもヴィヴィオを助けにいきたい」と、押し隠していた心情を吐露する。「二人できっと助けよう」と誓うフェイト。
だが、そのころヴィヴィオは、スカリエッティによってレリックの移植を受けていた……
レジアスが、あからさまな悪党面なのは見ればわかることだが、よりにもよってスカリエッティと通じていたとは……
第6話でフェイトが、ガジェットの残骸データから、時空管理局によって保管されているはずのジュエルシードを発見している。そのジュエルシードの入手経路が疑問点のひとつだったのだが、それもレジアスとスカリエッティのつながりから説明できるだろう。
気になる点として、スカリエッティは、レジアスから他に何かを引き出しえたのだろうか?
スバルとギンガが、戦闘機人であり、つまりゲンヤの本当の子どもではないという事実。ここにもまたひとつ、血のつながりによらない家族の形がある。
以前ティアナが、スバルをささえる家族の存在を羨ましく思うという描写があり、めぐまれた環境にあるスバルに対して、自分の身の上を引け目に感じているものと私は解釈していた。だが、スバルが戦闘機人であることも含めて、ティアナはナカジマ家の事情を知っていた様子だから、本当に「優しい家族がいていいな」という言葉どおりの意味しかなかったのか……
その、ものの見方というか発想こそ羨ましい。こういう人々に囲まれているからこそ、なのはさん一家も普通に受け入れられているわけだ。
可哀想になるほど落ち込んでいるスバルを、ティアナが励ます場面も、とてもいいと思った。
もともと良いコンビではあるのだが、いつだったかなのはがフェイトに対して言っていた、つらかったり悲しかったりする気持ちを分け合えるということ……スバルがどんなときでもティアナの味方をしてきたように、ティアナも相方のことを自分のことのように考える、そんな関係なのが伝わってきた。
ラストで、ヴィヴィオを心配して泣いているなのはを、フェイトが抱き寄せて励ます場面が、スバルたちのそれらの描写ときれいに対応している。だが、拘束されて泣き叫ぶヴィヴィオの前に、私のあらゆる邪念は一掃された。
スカリエッティめぇ……いたいけなヴィヴィオになんてことしやがる! といっても、レリックを移植というのが、具体的に何をすることなのかがよくわからない。あまり想像もしたくないが……
なのはの娘にこんなことをして、スカリエッティがタダでは済まないのだけは確信できる。でもその前に、なのはを支えようとするフェイト自身の身辺にも、何か嫌な兆候があるんだよなぁ。
エル・カザド 第18話 「諍う女」 感想

脚本:金巻兼一
作画監督:山下喜光・才木康寛(メカ)
絵コンテ:澤井幸次
演出:黒川智之
死者が見せる、過去の幻影。
一見して頭の中が疑問符だらけになったものの、こんな不思議な話は大好きだ。あれこれと深読みしてみたくなる。
そして、たとえ行き違っても、結局は仲良しのナディとエリスに萌え。エリスから「ナディと私はなかよしだよね?」と訊かれて「ばーか。あたりまえでしょ」と答えるナディは、エリスが「なかよし」という言葉で念頭においているのは、たとえばアミーゴ・タコス支店のバカップル夫婦だったりするのを憶えているのだろうか?
あらすじ:
エリスが大切にしていた思い出の品を壊してしまい、彼女の機嫌をそこねたナディ。人里はなれた一軒家に、一夜の宿を得るも、ふたりの間はぎくしゃくとしたままだ。そこへ、リカルドとリリオも合流する。
老主人がひとりで切り盛りする宿のたたずまいに、幼いころに母から聞いた、「ココペリ」なる作物の精霊──幸せを運ぶ平和の使いだともいわれる──の話を思い出しているナディ。そのころを懐かしむナディに、リカルドはエリスのことを諭した。
時を同じくして、宿のそばに現れるブルーアイズとL・A。ブルーアイズは、宿の老主人の身元を照会し、彼が三年前に死んでいることをつきとめていた。それを聞いたナディは、「エリスを狙う賞金稼ぎが、宿の主人になりすましているのではないか」とあわてる。
だが、ブルーアイズはすでに、部下をエリスの「保護」にむかわせていた。ブルーアイズが言うには、それがエリスのためであり、ひいてはナディのためでもある──返していえば、このまま目的地へむかい、ウイニャイマルカについて知ることは、エリスのみならず、ナディをも苦しめることになるだろう……
一方、エリスは宿の老主人に導かれ、扉のむこうに広がる奇妙な空間に足を踏み入れていた。そこで二人は、幼いナディと出会う。そしてエリスもまた、幼いころの姿にもどっていた。
そのころ、姿を消したエリスを、捜しまわっていたナディ。何事もなかったかのようにもどってきたエリスは、ナディと仲直りをする。むかう先に何が待っていても、エリスが望むのであれば、彼女を守ってウイニャイマルカへ向かおう──そうあらためて決意するナディ。
翌朝、ナディたちが発ったあとの宿へもどってきたブルーアイズは、人気のない廃屋と化している一軒家を目にして驚く。
幼いころに、ココペリに会いたくて、一生懸命に笛を練習したというナディ。幼いナディが、どうしてココペリに会いたがったのかはわからない。わかるのは、結局、幼いナディはココペリの笛をうまく吹けず、ココペリは会いにきてくれなかったということ。
ナディが、自分の過去にかんする話、ましてや家族にかかわる話をするのは珍しい。ココペリの話を聞かせてくれた母親、それを信じて笛を練習した幼い自分、会えなかったココペリ……それらが合わさって、ナディにとって何か、過ぎ去ったものの象徴とでもよぶべき思い出なのかもしれない。
また、リカルドの言葉を逆にとらえれば、ナディはエリスとはちがって、すでに「子ども」ではない。だから、エリスの気持ちがわからないでいるナディが、子どものころの出来事に思いをはせる中でその気持ちを知るというのも、また自然な流れなのだろう。
しかし、エリスが出会った幼いナディは、ココペリの笛を手にしている。あれは、笛の練習をしていたころのナディ自身なのだと思う。エリスは、宿の老主人に導かれて、そこへきた。老主人の正体が、彼の言うとおり「精霊」であるなら、逆にいえばココペリが、時を越えてナディに会いにきてくれたのかもしれない。ナディを許せないでいるエリスを連れて──いわば、「運んできた」のである。
あまつさえ、エリスをねらって宿に近づいたブルーアイズやL・Aを、バシルーラっぽい力で遠ざけることまでしているのだから、少なくとも彼が誰のために行動していたのかは明らかだろう。だが成長した今のナディは、ココペリが会いにきてくれたことを知らないまま、ただいつのまにかエリスの機嫌がなおっていたとしか思わない。
今回のエピソードがあまりに不可解だったせいか、「なぜナディはそうまでして、エリスを守ってウイニャイマルカを目指そうとするのか?」という部分がかえってすんなりと受け入れられてしまったのが、さらなる不思議といえば不思議だ。
ただ、ナディも今回の話になぞらえるように、過ぎ去ってしまったものから影響を受けているという可能性はある。もっといえば、ナディが「エリスは私が守る」と繰り返すこと自体が、何かの伏線なのかもしれないと思うようになった。
『コミック百合姫』 Vol.9 感想
![]() | コミック百合姫 2007年 09月号 [雑誌] 発行:一迅社 発売日:2007/07/18 価格:\880 |
遅ればせながら感想。
表紙が素敵だ。正しく夏だ。百合姉妹からの歴代表紙の中でも、とくに気に入った。
今号ではやはり、「アオイシロ ─青い城の円舞曲─ 」の連載開始が、個人的に期待するところだった。
実際に読んでみて、百子が主人公というのは意外。その底抜け元気キャラには好感が持てるし、絵柄も全体的に可愛らしくて好きだ。
『アオイシロ』の公式サイトをよく読んでいなかったので、百子は梢子の友だちなのだと勝手に思い込んでいたが、実際には後輩にあたるらしい。さらに、本編のヒロイン・保美の友だちであり、しかも彼女に惚れているらしいとあっては、どんな展開になるのか……
また、前号から連載スタートした二作について。
これまでの印象でいうなら、「EPITAPH」は雰囲気が好みだし、キャラも可愛いと思う。一方で、「紅蓮紀」はストーリー以前に、キャラが男にしか見えないときがあって、どうにも微妙に感じる。
連載を重ねるにつれて、また印象が変わると思うけれども。
さて、今号でいちばん印象に残った作品といえば、「Butterfly69」だ。
タイトルを『バッファロー '66』と見間違えた。クリスティーナ・リッチがクネクネ踊っていて、ヴィンセント・キャロがボーリングしていて、ジャッ・ジャッ・ジャラララララ〜ン! っていう映画。かつて、予告編のカッコよさにつられて見たが、おもしろくなかった。
夏猫氏の漫画は、前回のもインパクトがあったけど、これも勢いがあって好きだ。基本は学園ものでありながら、他が描かなさそうな話でもある。「あの子の才能は いずれ 世界を変える」なんて恥ずかしいノリも妙にハマっていて、もっとこの人の漫画が読んでみたいと思った。
「ストロベリーシェイクSweet」は、樹里亜の一念発起によって、蘭と二人でリゾートホテルのスイートにお泊りすることになるという話。冒頭から、冴木さんの心底イヤそうな表情と、浮かれまくる樹里亜の対比に吹き出してしまった。
第三者からみれば、「もうお前ら早くくっついちゃえよ」という雰囲気なのだが、樹里亜もヤル気満々とはいえ、イザとなったらヘタレそうなのは相変わらずだ。ここは蘭ががんばるか、第三の要因がからまないとうまくいかないだろうな……と思った矢先に、恋のキューピッド役か邪魔者か、ZLAYのメンバーさん登場。よく見ると、ほっぺたにデカい手形がついているのに笑った。そして、樹里亜たちに何か相談があるらしい。
大きく進展しそうで、なかなかしないのがストシェ。どう転ぶだろうか。
「そして僕らは愛を目指す」は、大人の百合漫画とでもよびたくなる話で面白かった。
百合って、基本的には少女同士の話というイメージがあるんだけど、これはそんな少女が大人になっても、ずっとラブラブで暮らしている話なんだ。だから、たんに大人の話というわけではない。メガネの僕っ娘も、落ち着いた大人の女性になり、それでも変わらないものはある。
忍が先輩に対して、未だに敬語なのがいいなぁと思った。
他にも、「夏窓シンドローム」、「ときめき☆もののけ女学園」、「ひとつぶの海」、「恋の証明」が、単体としてみると面白かったな。
なんとなく、女教師の流れが来ているっぽい? なんだかんだで学園ものが主流の百合姫、私にいわせれば遅すぎるくらいなんだが。もっと、教え子を食いまくりで役得最高な女教師や、担任の先生とガチで女の奪い合いみたいな話があってもいいと思うんだ。







