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Lilith Mist 『KANAGI〜淫夢学園〜』 感想

KANAGI ~淫夢学園~KANAGI ~淫夢学園~


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KANAGI〜淫夢学園〜 LILITH|リリス
http://www.lilith-soft.com/mist/product03.html

 Lilithの低価格エロゲー。コンプした感想をメモ。
 女主人公もので、主人公をふくむ4人の女子高生が主な登場人物。ありがちな陵辱ゲーかと思いきや、なかなかに淫靡なホラーテイストのストーリーが展開され、現実と淫夢のあわいをただよう独特の雰囲気を醸しだしている。
 また、淫魔(サキュバス)に肉体を操られて望まぬ快楽を強制され、心では拒みながらも溺れていく主人公の二重化された心理もよく描かれており、それがとてもエロいのだ。
 さらに最終的には主人公×親友をはじめ2組のレズカップルが出来ていたという意外な展開で、個人的にはいい意味で予想を裏切られた。

 ただし女同士のHシーンでは、淫魔(サキュバス)の力によってかなりの割合で「生える」ので、ふたなり耐性が必須。これはOHPを見ればわかること。その他のエロも触手や肉体改造など特殊シチュのオン・パレードなうえ、主人公やヒロインたちが堕ちていく過程で男相手・乱交も多々あるので、特にレズものという印象はない。レズシーンもある、ぐらいの感覚かな。
 個人的には、Hシーンの一枚絵でたまに断面図が出てくるのが印象的。とはいえ何か中途半端なんだけれども……

 『肉体転移』でも感じたことだが、このライターさんは、私たちが日ごろ自明と見なして過ごしているような物事に揺さぶりをかけ、境界線を曖昧にして不安をかきたてるというようなストーリーを書くのがうまい。
 また『肉体転移』は、男主人公で一周すると次からはヒロイン視点でプレイできるようになるという毛色の変わったゲームだったが、多数のエンディングの中に素晴らしいレズENDがあるのだ。これをかんがみるに、このライターさんにはもとから百合属性があると考えた方が自然だろう。本作でも、常軌を逸したシチュエーションにおける純愛という点は共通しており、恋愛感情が明言されている分、最近でいうと『恋夏』感想)なんかよりもずっと百合だと言いきれる。
 ただ、TRUE ENDでは満を持して登場する魔王がとても邪魔なので、淫魔の誘惑を拒絶しつづけた結果のノーマルENDの方が私好みだった。魔王はホントいらないというか、出てきて誰になんの得があるのかよくわからなかったなあ。

 CG枚数は差分抜きで32。Hシーン回想が22。
 おまけはGALLERYとして、CG鑑賞・シーン回想モードあり。
 システムは、バックログ・既読スキップ・オートモード・クイックセーブ&ロード・文字表示速度の設定・サウンド設定(BGM・音声・SEのON/OFF及び各ボリューム調節)・画面効果のON/OFFなど……過不足なし。

 この廉価からすると充実のボリュームといえる。低価格商品の量産体制がそれを可能にしているんだろうけど、この手のゲームに関しては安かろう悪かろうとはあながち言えなくなっているのだなあと最近つくづく感心させられる。
 他にも、レズ要素に期待してプレイしてみたいLilith作品(イリスとかサラとか)は以前からあったんだけど、KANAGIに関しては絵が好みだった点が決め手になった。
関連タグ: ゲーム 百合 レズビアン

BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜 第7話 「Crinum」 感想

マリ&萩乃&赤ちゃん
脚本:吉富昭仁
絵コンテ:瀬藤健嗣・大倉雅彦
演出:浅見松雄
作画監督:蘇武裕子・早川ナオミ

 Crinum──けがれない心。その花の名の由来は、ギリシア語のKrinon(百合の一名)から。
 第7話、原作者の吉富氏が脚本を担当されるというので個人的に注目していたのだが、すみずみまで計算されたまるでお手本のようなシナリオだった。ありふれた夏休みのひとコマをここまで面白く見せられるというのが驚きだ。水着! 風呂! 百合! と押さえるべきを押さえつつ、手堅いなかにも巧みに差し挟まれていく意外性が随所で光っている。ストーリーはいったん留保して、氏の思うようにやってもらったという印象だけれど、演出にも作画にもやたらと力が入っており、スタッフの意気込みが感じられた。
 にしても、なんでこんなにうまいのか。アニメの脚本と漫画とでは求められるものがずいぶん違うように思えるが、ある面では共通する技術が要求されるのかもしれない、つまりお話を作るということにおいてだが。

 夏休み、船津丸寮長の実家を訪れるマリたち。引っ越しの手伝いを兼ねて遊びにきたのである。
 一行を迎えたのは寮長の姉であり、いま彼女は長女につづく第二子の出産を控えていた。マリたちは、寮長の姪にあたる赤ん坊を物珍しく眺める。とりわけ萩乃の目にはそれが、まるで未知の生物のように映った。
 さっそく水着に着替え、海水浴にむかうマリたち。少し離れた岩場まで泳いで行ってみようと萩乃を誘ったマリだったが、天候が急に悪化しだした一方で、なかなか海から上がってこない萩乃にひどく心配させられる。しかし萩乃の姿を見つけて安堵するなり、またとげとげしい態度を取ってしまうのだった。
 そうして台風が近づく中、寮長の姉が産気づいてしまい、寮長が病院まで送っていくことになる。寮長が戻るまで赤ん坊の世話を任されたマリたちは、様々なハプニングに見舞われつつ、オムツ替えにミルクに(頼まれてもいない)お風呂にと奮闘する。
 姉の子どもが無事に産まれた後、みち子との電話で、預けた姪っ子の生命の危機を察知した寮長は、血相を変え、土砂崩れによる通行止めをも乗り越えて帰宅する。だが、その頃には赤ん坊もその世話に疲れた友人たちもすっかり寝入ってしまっていた。
 そこには海でのいざこざなど何もなかったかのように、赤ん坊の布団で一緒になって眠るマリと萩乃の姿もあった。

 まず序盤、前回の予告における「未知なる少女」の思いもよらない正体に吹きだしてしまった。"少女"じゃない、それ少女じゃないから!
 ただ、赤ん坊とマリとの寝顔に「眠ってると可愛いんだけどね」とひとりごちて微笑む萩乃を見るかぎり、「アルメにとっては未知なる存在と映る、純真無垢な彼女」の部分が二人に掛かってくることを狙ったのかもしれないな。実際、萩乃の手におえないもの、未知の存在という意味では似たようなものではないだろうか。

 いつにもまして、萩乃に対する逆走ぶりに拍車が掛かるマリ。萩乃が海で溺れたと思い込んで泣きながら捜していたくせに、見つかったとなれば食ってかかり、「もう、知らない!」「べつに、あなたを心配してたわけじゃないんだからねっ!」と非常にわかりやすいツンデレっぷり。
 一方で、泣きじゃくるマリを実はしっかりと目撃していた萩乃、ひとりお風呂でその姿を思い浮かべて思い出し笑い。普段ツンツンされているだけに、心配されて嬉しかったのだろうか。人目がないのもあり、いつになくニコニコしているのがやたらと可愛いのだった。
 だがそこへいきなり、素っ裸の赤ん坊を抱えて踏み込んでくる当のマリ。あっけにとられて見上げる萩乃に、
「ちょっとさ、お願いがあるんだけど!」(命令口調)
昼間は萩乃の水着姿に目が釘づけになっていたくせによく風呂場になんて入ってこられたなと驚いたが、考えてみれば寮には共同浴場があったから、裸ぐらいは見慣れていそうなものなんだよね。だがノックぐらいしろ。それから二人して赤ちゃんをお風呂に入れ、ミルクをあげ、しまいには一緒の布団に(おそらく川の字になって)寝てたって、一体どんな子育て風景ですか。
 いつのまにか「萩乃」「マリさん」と名前で呼び合っているあたりも含め、この人たちを見ているともうニヤニヤがとまらない。翌朝、目を覚ました二人が、赤ん坊のいなくなった布団で同衾していたことに気づいてどう反応したかがすごく気になる。

 家庭環境を考えるに赤ん坊なんてろくに扱ったこともなさそうな連中が勢揃いする中、異様に生々しい存在感を放つ赤ちゃん。ウンコしたりミルクもどしたり、ホント恐ろしい生物だな……正直、ミルクを飲ませた後にゲップさせてあげないと吐いちゃうなんて、今回で初めて知った。親戚には赤ん坊がいないこともなかったが、もちろんこの私に子守をさせるような真似は断じて誰もしないわけで。
 しかしゲロ。テレビアニメで目をうたがうばかりの鮮烈な嘔吐。あまりのことに爆笑してしまったが、赤ん坊のだしミルクだし不潔感はない、とはいえ漫画でも突発的な嘔吐シーンが描かれてなかったっけ。吉富氏の好みなのか? そんな嗜好がありうるのかどうか知らないが……

 さて、萩乃が楽しい休暇を過ごす一方で、拘束されたアザナエルを監視しつつBLUEで留守をまもっているツバエル。「コマンダーには休息が必要」と、我が身もかえりみず気づかう健気な姿が涙をさそう。ツバエルの愛は深いなあ。でも奥深すぎて肝心のコマンダーに伝わっていない……
 と思いきや、夜更けにコマンダーから呼び出されたツバエルは、思わぬ贈り物をうけとることに。海にもぐってマリに心配をかけた理由──私はてっきり、萩乃はあの貝殻をマリのために取ってきたものとばかり思い込んでいたのだが、なるほど実はツバエルにあげるつもりだったのか。
 鳥型ロボットを介して連絡を取っていた際、「安心して休暇を過ごしてほしい」と告げて去るツバエルを萩乃が見送るという場面の意味深な間、あれがここへきて符合したわけだ。何くれとなく尽くしてもらっていることに対して、萩乃なりに日ごろから感じるところはあったのだろう。

 真っ赤になって「ありがとう」とだけ告げ、逃げるように走り去ってしまう萩乃、これが一瞬、意識が遠のくほど可愛かった。ツバエルでなくとも100人中100人が「惚れられてる?」と勘違いするであろう乙女っぷりである。純粋な感謝の表れとはいえ、これではむしろ罪作りなのでは。
 半面、ツバエルの思いやりに応えるその感謝こそが、人間性を解しつつある萩乃の変化を示しているのだとも思う。萩乃は何か浮世離れしているというか、まあ異星人ゆえ当たり前かもしれないが、どこか超然として無機的な印象があった。それが、彼らがよぶところの「フォリメ」との接触によって決定的に変わりつつあるという描写なのだろう。

 にしても、貝殻にまつわる印象的なエピソードというのは神無月の巫女からストパニへ受け継がれ、ここへきて百合アニメ史における一種の伝統になりつつあるのだろうか。隠喩的なエロスはもちろんのこと、尽くす愛+貝殻=レズレイプフラグという公式化も想定される。
 どうせならエロコス姿の萩乃がツバエルに押し倒される展開を希望したいところなのだが……うはっ、ない! ない!
関連タグ: アニメ BLUE-DROP 百合

鬱だ

 人生は穴が開いた貯金箱のようだな……とかどうでもいいことを考えてボーッとしていたら、百合姫の読者プレゼントカレンダーに応募するのを忘れていたことを思い出した。げっ、締め切り昨日かよ、もう死にたい。
 もう何もかもがダメだ。思いどおりにならない。でも死にたいとか言っててもブルドロの続きが見たいし、年末にはソルフェージュが発売されるし、来年のアオイシロもやりたい。RococoWorks の第一作だって気になる。結論をいうとまだ死にたくないのだった。

 最近、ブログを更新するためにまとまった記事を書くのすら億劫だ。巡回しているブログが毎日のように更新されているのを見ると感心してしまう。これは大変なことだ。
 変に完璧主義に陥らないことが、継続のポイントかなあと思う。これはある程度どんなことにも当てはまるかもしれない。仕事でも効率を上げるためには手の抜きどころを覚えないといけない、そういうことだろう。そもそも私ごときが完璧を求めようとしても無理が出るに決まっているしな……
 ただ、趣味でも恋愛でも死ぬほど飽きっぽい私が、これまでこのブログを続けてこられたのは、基本的に好きなことを書いているからだと思う。百合が好きだし、アニメやゲームが好きだし……だから、もうやめようとも思わない。むら気が激しいのは変えられないだろうけど。

 なんかすごくどうでもいいことを書いてしまった気がする。だがここは私の日記帳でもあるので勘弁してもらおうか。
関連タグ:

最近読んだ本

 読書の秋──もう冬か。スタニスワフ・レム 『ソラリスの陽のもとに』を読み終えて、木ノ歌詠 『幽霊列車とこんぺい糖』を読みだしたところ。

 『ソラリスの陽のもとに』。ふと思いついて読んだ。SF小説なんて、友人の部屋にあるのを暇潰しに読んだりしたことはあれど、そうと意識して手を出したのは初めてのような気もする。わからない言葉が多く、百科事典を引きつつ読み進める……非常に面白く刺激的な小説だった。ひと口にいえば他者性を主題とする作品で、人類にとって絶対の他者である「ソラリスの海」の謎について主人公や過去の研究者がもてあそぶ仮説やら空想やら妄想やらの記述が、本筋からは外れたところにありながらも無闇やたらに面白い。菫色の靄に覆われ、たゆたい思考する海、という圧倒的なイメージだけでご飯三杯くらいはいけそうだが。次は、入手が比較的簡単だった『砂漠の惑星』を読んでみるつもり。
 『幽霊列車とこんぺい糖』。百合小説としてよさげだったので買ってみた。映画 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を愛する、自殺志願者の主人公──実在したとしたら、まったくもってこれっぽっちも気が合いそうにない。まずもって『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が嫌いだ。ビョークが歌って踊る姿を見られるというのに釣られてしまったばかりに、とても後味の悪い思いをさせられた。
関連タグ: 小説

BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜 第6話 「Campanula」 感想

マリ&菅原先生
脚本:白井宏旨
絵コンテ:羽生尚靖
演出:久米一成・友田政晴
作画監督:服部憲知

 花火大会の喧騒と打ち上げられる花火と、その裏で繰り広げられる大規模な空戦。闇と花火の轟音と色鮮やかな光とが夜空を覆い隠して、激しい戦いもまた人々の目にはそれらの飛沫としか映らない。戦闘と祭りとが密かに隣り合わせとなって調和する、美しい情景。
 こんなユニークな戦闘シーンが見られるとは。

 夏休み前の期末試験。学年トップの座を萩乃から奪取すると宣戦布告し、自信満々のマリ。だが化学で赤点を取ってしまい、夏休みを返上しての補習を回避するべく、追試にそなえての勉強を菅原先生からみてもらうことになる。
 学園生活がはじめてという自分を何かと気にかけていてくれ、親身になってくれる先生に、マリは次第に特別な気持ちを抱いていく。そして海王市の花火大会が開かれるのを知り、「追試に受かったら一緒に花火を見にいく」という約束を取りつけるのだった。
 一方で、第5艦・BLUEに反逆の意図を認め、これを侵攻本隊が到着する前に排除すると宣言したシバリエル。第3・4艦が連携して攻撃するという作戦を実行に移した。
 花火大会の夜、武装解除命令とともに指定された位置へとむかったBLUEは、そこで襲撃を受ける。それらをしのぐも、すべてが囮であることに気づく萩乃。敵戦闘機群に紛れるようにして、アザナエルを乗せた小型艇がマリの捕獲にむかっていた。
 偶然、先生が神隠島事件の真相に近づくカギとして自分を監視していたことを知ってしまい、怒りと悲しみをあらわにするマリ。だがアザナエルの襲撃に際して先生は、マリの監視とともに警護をも請け負っているのだと告げ、マリを守ってそれに立ち向かおうとする。駆けつけた萩乃によって窮地から救われ、その帰り道で先生と和解するマリ。萩乃はアザナエル機を撃墜し身柄を拘束した。
 一方でツバエルが、ビーム砲による遠距離からの精密射撃でもってエルボルーを撃退。作戦失敗とみるや撤退を命じるシバリエル。BLUEから「武装解除命令には応じない。以後、独力で行動する」との旨の電文を受け取り、怒気にみちた笑みをもらす。

 冒頭、学年トップの萩乃に宣戦布告しておきながらしっかりと赤点をゲットしてくれたマリは、決して期待を裏切らない子。とはいえ転入するまでは家庭教師が付いていたというだけあって勉強自体はできるようだが、そもそも物理と化学の区別がついていなかったとかもうね……

 内閣安全調査室の調査官という肩書きだけをまとって、これまで蚊帳の外におかれていた菅原先生。これを機にマリとの距離を縮めて揺さぶりをかけてくるかと思いきや、何か煮えきらない態度である。問題はマリ。先生の思わぬ優しさに触れ、しきりに頬を赤らめ、肩を寄せて勉強を教えてくれる横顔に見とれては叱られ、あげく花火大会デートの約束にこぎつける。いくぶん戸惑いながらも、むろんマリの好意を拒むことはない先生。
 次回予告の「菅原裕子に惹かれていくマリ」なんて釣りだろうとたかをくくっていたのに、何このただならぬ雰囲気。花火大会なんて、好きな人と行きたいランキングの上位に食い込むだろう一大イベントなのに、ヒロインたる萩乃なんて思い出しもしないどころか女教師に自分からお誘いとかやってくれる! いいえ師弟愛です、師弟愛ですとも、マリは大人の女の包み込むような優しさにちょっとだけグラッときちゃっただけでホント……禁断の課外授業、ハニートラップ、峰不二子……ああ! ど、どうしよう! どうしたらいいの? (←萩乃派)

 しかしみち子たち仲間から誘われれば同行しようと考える辺り、マリが先生を実際にどう思っていたのかはいまいち定かでない。
 ともあれデートを前にして先生の正体がばれてしまい、マリに拒絶されたのもつかの間、身を呈して守ろうとしてくれた先生とマリはふたたび心を通わせ、涙ながらに抱き合うのであった。なんていい話……感動した! どう見ても先生ルートに分岐したように見えるとか、気持ちが昂るあまりあの後ふたりはどうにかなっちゃったんじゃないかとか、邪な目で見るのは禁止。気のせい。マリのひたむきさが先生の心を変え、先生の思いもまたマリに伝わったんだよ!
 マリはきっと、そこにいるだけで庇護欲をそそるタイプなんだろう。なぜか世話を焼かずにいられないという。萩乃や先生には特殊な事情があったにせよ、第1話からすでにミッチーを振り回していたしね。それはいいんだけど、このままマリが各方面でフラグを立てまくっていく展開だったらどうしよう。それは複雑だ。とにかくマリには油断ならないということがよくわかった。

 少なくとも今回の話は、今後、先生がマリたち生徒や異星人とは別のアプローチでストーリーに絡んでいくための段取りだととらえられる。誰もが何も知らないまま、疑いすら抱かないまま、異星人側の侵攻本隊が到着してしまったのではお話にならない。今回マリが何者かに狙われていることを知ったのだから、主に神隠島事件の真相にはじまる謎の部分に先生個人が介入してくると予想。
 先生とエージェントとのやり取りからわかることとして、政府は神隠島事件において島民同士の虐殺が起きたと考えていること(他に考えようもないだろうが)、そして島を襲った津波が「ありえない局所的な」ものだったと調べをつけていること、がある。マリが埠頭で襲撃された件も、形跡だけは押さえているようだ。要するに何もわかっていないんだな。
 津波が自然的要因でもって発生したのでないのはわかるとしても、では何が原因かと考えてみると確かによくわからない。エミルフォースドライブとやらの暴走の結果として具体的に何が起こったのか、暴走の原因は何か、それらをまずは知る必要があるなあ。いやそもそも萩乃の、事故に関する説明が事実という保証もないのだが。

 てっきりアザナエルは終始、萩乃に敵対しつづけるよう宿命づけられているものと思っていたので、ここへきて萩乃に身柄を拘束される展開は意外すぎた。
 萩乃にはまだ余裕がありそうだ。シバリエルの陥穽を見抜いてすぐさまマリのもとへ向かうあたり、優先順位がはっきりしているといえばそうだろうが、いつもながらBLUEをツバエルにまかせて離れることができるというのは信頼そして余裕の証と取れる。艦が撃破されたらもうどうにもならんわけで。まあ、置かれている立場の深刻さに比べ、切羽詰った姿というのが想像しにくいキャラではあるのだが。
 何より、ひとりで追々試を受けているマリのもとへわざわざ忍んできて、からかったりしているくらいだからなあ。何をしているんだ。マリのリアクションがおかしくて涙が出るほど笑っている姿、萩乃の新しい一面を見た気がした。可愛らしい。
関連タグ: アニメ BLUE-DROP 百合

サラ・ウォーターズ 『荊の城』

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

著:サラ・ウォーターズ
発売日:2004/04/22
価格:987

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

著:サラ・ウォーターズ
発売日:2004/04/22
価格:987

 BBCドラマ版『荊の城』の日本語版DVDが発売されると知り、本棚の肥やしとなっていた原作小説・上下巻を読了。感想は書かないつもりだったけど、気が変わったので簡単に。致命的なネタバレはしてないつもりだけど、保証はしない。

 面白いところはすごく面白いのに、退屈なところは死ぬほど退屈という極端な印象がまずある。展開の面白さはあるし、巧みな構成や緻密な伏線にも驚かされるものの、似たような情景描写が執拗なまでに繰り返しあらわれて冗長に感じられる。続きが気になってならない読者としては、欠かせない描写なのだとわかってはいても、おあずけを食らっている犬のような気分になる。とはいえ描写におけるこの厚みこそが作者の特徴なのかもしれず……
 力がある小説だと思ったのは本当だ。なんといっても構成の美しさがある。最初から欺瞞と裏切りとによって関係づけられている二人の少女、いらだたしいまでの緊張状態、それでいて二人は惹かれあってしまう。同時に湧き起こる矛盾した感情が入れかわり立ちかわりし、しかしそれらはあくまでも心の内に秘められていなければならない。愛と憎しみ、信頼と疑心、喜びと悲しみ……その緊張関係がいよいよ限界を越えたかに見えたとき、驚いたことに今度は少女たち自身が入れかわりはじめる。物語を語る、一人称の主すらも。瞬間、誰が誰なのかが曖昧になり、どちらがどちらなのかが判別しがたくなり、そのとき二人の存在は限りなく重なりあい交錯する。そのとき「私」は彼女であり彼女は「私」なのだ。
 第二部で描かれる、モードの複雑すぎる人となりにも息をのまされる。スウの目から見られた素朴で無邪気なお嬢様にすぎなかったはずのモードが一転、いびつなまでに屈折したまるで別人のような少女として立ちあらわれてくるのだ。たしかにスウが言うように──ただしスウとは別の意味でだが──、モードを愛さずにはいられなかった。モードがスウへ注ぐ愛情もまた、あまりにも複雑かつ臆病、つまりは不器用だからである。仮に二人がふつうに出会えていたとしても、モードが遠回りせずに思いを打ち明けられたかどうかというと怪しいものだ。
 あとはやはり、余韻の深さだろう。いたずらにドラマチックにならず抑制されていて、それでいて心を打たれる結末。

 ドラマについて思ったのが、主演女優がどう見ても17歳の少女には見えないということだ。BBC文芸ドラマで年端もゆかない少女に同性愛シーンを演じさせるわけにはいかない、とかいう配慮があったのかもしれないな。穿ちすぎ?
 ともあれ出来が楽しみ。原作の展開をうまく取捨選択しつつ、誰もが楽しめて小説にも興味を持てるようなドラマというのが理想だろう。
関連タグ: 小説 百合 荊の城 レズビアン

BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜 第5話 「Garden verbena」 感想

ツバエル
脚本:小枝マリ
絵コンテ:静野孔文
演出:内田祐司
作画監督:粟井重紀

 日常と非日常──平和な学園生活のなかで持ち上がった些細だがこみいった出来事と、宇宙戦艦同士の派手な戦闘──が目まぐるしいまでに交錯して描かれることによって、このアニメの一貫したねらいが浮き彫りになってきたように思える。面白い。
 ひときわ異質なもの同士が、反発しつつも最終的には歯車がぴったりとかみ合わさるように融和させられうるのかどうか。日常と非日常、学園風景とSF、地球人と異星人、マリと萩乃……
 そう考えていくと第1話冒頭の会話も、言外の意味を持ちはじめる。

 萩乃はマリに、自分の正体を明かした。その説明には今ひとつピンとこないながらも、案外すんなりとそれを受け入れてしまうマリ。
 「ノヴァールのプローブが行方不明になった」との報告をシバリエルから受ける萩乃だが、マリが襲撃された件についてはお互いにしらを切る。その一方でシバリエルは第2艦・ケルビルーへ、BLUEを撃破せよとの命令を下した。
 そのケルビルーからの奇襲を受け、艦体に損傷を負うBLUE。ツバエルからの報告を受けた萩乃は、みずから指揮をとり同胞の艦であるケルビルーと交戦することを決断。再度の砲撃を待ちかまえていたBLUE、敵艦の直上へ転移して体当たりをかますという作戦でもってケルビルーを撃退する。
 一方、じつは朱音の離婚した実父であった学園長が倒れ、病院へ運ばれてしまう。その複雑な親子関係をめぐる朱音、そしてマリたちのやり取りを目の当たりにして、人と人との絆なるものを意識しはじめる萩乃。

 前回の一件のせいで、マリに正体を隠しておけなくなった萩乃。せいぜいサンタさんの正体を知ってしまった子ども程度のリアクションしか示さないマリと、マリが気にくわないらしいツバエル、そして何を照れているのかしきりに頬を赤らめる萩乃の対比が可笑しい。
 そこへマスターコマンダー・シバリエルからの通信が入る。会談に応じるも、シバリエルと互いに腹の内を探りあう萩乃、ここでは顔色ひとつ変えない。シバリエルはしきりに萩乃を試しており、ケルビルーを差し向けることによってエカリル=萩乃の「覚悟のほどが知れよう」とも言っているが、すでにその謀反の動機には見当をつけているのだろうか?
 萩乃は地球への侵攻に先行しての調査に参加してきたわけだが、現在はさておき神隠島事件より以前、そのことについて個人的にはどんな意見を持っていたかというのが気になる。地球へ侵攻することになる異星人たちが、もとから一枚岩だったのかどうかってことでもあるが。

 萩乃はつねに飄々としていて、シバリエルはもちろんのこと腹心の部下であるツバエルにも心中を明かしていないと見うけられたり、緊急時においても校則・寮則の類を遵守する度を越した律儀さだったり、それでいて完璧と評される一方で何かしらの欠如も感じさせたりと、今のところ何を考えているのかわからん人。異星人、コミュニケーションが可能なのかどうかもわからない存在、そんな他者として描かれているのならむしろ、わからんままなのが良いのかもしれないが。
 学園長を見舞うため寮を脱け出そうとする朱音、そしてそれを応援するマリたちの行動を理解できないでいる萩乃に、「あなたにだって、ひとつぐらいは大切にしているものがあるでしょ?」と目に涙をためて問いかけるマリには、そもそも相手は異星人なのだからわかりあえないかもしれないなんて思いもよらないのだろう。オノミルを愛するアザナエルのような例もあるので、異星人というより萩乃とのギャップというべきかもしれない。朱音の家庭事情にも、みち子が脚本を依頼されたという話にも、マリは「頼まれてもないのに他人の問題に首をつっこんでいいのか?」とかいった躊躇なんてなしに踏み込んでいく。他者との距離などないかのように。良し悪しは別にしてそれがマリなんだろうけど、これが今後どう働くか。
 ともあれ朱音の親子話じたいはベタなんだけど、それをきっかけに、考えてもみなかった「大切なもの」の存在をはじめて意識する萩乃、という場面が印象的だった。

 しかし、今回の個人的な見どころはやはり戦艦同士のバトル。うっちゅーうせんかんやーまーとー♪
 ケルビルーの砲撃って要するに、発射した超デカい氷のカタマリをワープさせて、BLUEに撃ち込んでたんだよね? 砲弾がワープしてきて、空を覆っていた雲がサッと吹き飛び晴れ間がのぞく場面、そこからのBLUE反撃がカッコよかった!
 個人的にはケルビルー艦長・カサゴルのロリ可愛さと、ツバエルの揺るぎない忠心もポイント高し。
関連タグ: アニメ BLUE-DROP 百合

BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜 第4話 「Dahlia pinnata」 感想

マリ&萩乃
脚本:高橋ナツコ
絵コンテ:吉田英俊・大倉雅彦
演出:神崎ユウジ
作画監督:成松義人・水川弘理・八木元喜

 主題歌CDをヘヴィーローテ中。とくにOP曲が大好きだ、なんという鳥肌ソング。歌詞がとても切ない。大倉監督みずから作詞されたということで、本編の展開とも深く関連していそうだが……
 ところで、人がいないときにED曲に合わせてあの「るんるん♪」走りを真似してみたんだけど、案外楽しいとはいえひとりでやってもむなしいような気もした。

 次の朝がきても、寮の部屋へは戻らない萩乃。のんびりと休日を過ごしつつもやはり元気のないマリ、そしてみち子を、町へ連れ出して行きつけのレストランへむかう朱音。おいしい食事で楽しい時間を過ごしたのもつかの間、朱音の顔見知りらしいチンピラに絡まれ、路地でケンカに。マリは、チンピラの車に引きずり込まれそうになったみち子を助けようとするが、勢いあまって自分が拉致されてしまう。
 一方で萩乃は、艦隊の司令・マスターコマンダーであるシバリエルと会合していた。「エミルフォースドライブ」の暴走による五年前の事故がもたらした甚大な被害と、なぜかそのエミルフォースドライブの影響を受けないフォリメ(=マリ)について報告。シバリエルはマリに、ことのほか強い関心を示す。
 マリは倉庫が立ち並ぶ埠頭へ連れてこられるが、そこへシバリエルが差し向けた対人プローブが出現。チンピラたちが逃げまどう中、巨大なその姿をぼう然と見上げるマリは、プローブの触手に捕らえられて絶体絶命のピンチ。
 そこへ颯爽とあらわれ、プローブを撃墜してマリを救い出す萩乃。萩乃に抱きつき、泣きながら「怖かった」と訴えるマリ。

 マリがチンピラどもに拉致られてあわやと思いきや、そのチンピラを蹴散らして今度はいつの間にか触手に捕まっており、なんらかのプレイがはじまりそうという危機にコマンダーこと萩乃が駆けつけて、好感度と見せ場とをかっさらっていきました。スゲエ展開……
 萩乃が出会いがしらに首を絞めたというので険悪になっていた二人、ここへきて一応の仲直り。それがまた、触手から助けられてのことというのは、どういえばいいのか、とてもアブノーマルな関係です……
 マリがチンピラ相手にきめた鮮やかな膝蹴りが目にやきついていたので、一瞬、マリなら触手くらい倒せるのではないかと期待してしまった私。対人プローブ→触手装備ってのがさらに衝撃的だったのだが、異星人はいったい何を考えているのだろうか? そういえば第2話冒頭、マリの夢の中で萩乃が触手を伸ばしてくるという場面があったけど、あれも現実に起きた(がマリは忘れてしまった?)出来事を反映していたのかもしれない。

 触手に襲われるマリを見てゲラゲラ笑ってしまったが、コマンダーの王子様っぷりとラストの和解シーンが素晴らしい。助けてもらったくせにやっぱり怒っているマリだが、殊勝にも助けが遅れたことを詫びる萩乃に、抱きついて号泣。はじめての握手では暴走して首を絞めてしまい、次の握手では頭から水をぶっかけられ、その次にもパニックを起こしたマリをなだめようとして逆に思わぬダメージを食らった萩乃ゆえ、こうしてふつうに触れ合えるのははじめてのこと。抱きつかれて一瞬、驚いたように目をみはるが、すぐにマリの背中に手を置いて「あったかい……」とつぶやく。いささか変態チックに聞こえたのはおいといて、経緯を考えれば感慨深いものがある。
 ところで、コマンダーがパイロットスーツを引っぺがしたら下に制服を着ていたという場面で、「明智小五郎だぁ!」と喜んでしまった私。スカパーか何かで見たんだけど、変装をベリベリって剥がすシーンがもうね、超カッコいいの。変装を引っぺがした下には、ビシッとスーツ着てんの。

 さて、触手だの戦艦だの物騒なモノが続々登場しているとはいえ、現在の基調は「楽しい学園生活編」だと思う。緩慢に流れていく平和な時間、新しい友達と気になるあの子と将来の夢。すでに明らかな今後、未曾有の危機を迎える世界を思えば、鬱展開の種をまいているようにも見えるが……
 今後の展開を考えるなら、まずは萩乃が今回の件で窮地に陥ることは間違いないだろう。だが、萩乃が現在調査中と報告したにもかかわらず、なんの相談もなくマリの捕獲命令を出すシバリエルもどうなのって感じだ。むしろ萩乃を試したかったのかもしれない。
 エミルフォースドライブの影響を受けない、特殊な能力もしくは体質をそなえているらしいマリ。これが神隠島事件の原因もしくは結果と関連づけられるのは間違いないと思われるが、この辺りの真相、それから萩乃の、同胞に対する背信こそが展開のカギを握りそう。
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