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志村貴子 『青い花』 第3巻 感想

2008年04月17日



 淡々とした筆致ながら情感あふれる描写が、あいかわらず冴えわたる第三巻。
 少ない男キャラもけっして背景化することなくむしろ存在感をましているが、それも絶妙なさじ加減で、あくまでも女の子たちの日常をつづる物語はゆるやかに進行する。この緩慢さこそが心地好いというのか、まさに呼吸するように読めるといったらおかしいだろうか?
 そしてラスト、あの引きは卑怯。ときめきまくって続きが気になるあまり、掲載誌のバックナンバーを買いに走ってしまった。ただ、『青い花』特集が組まれたVol.49を以前に買っておいたのを忘れ、同じ号を重複させてしまったのが情けない。落ち着け私。

 ラストのふみちゃんのモノローグで、「嫉妬」という言葉がそのまま「こめかみが痛くなる」という身体感覚に置きかえられる──それによって急になまなましく感じられる──場面がすごく印象的だった。嫉妬を自覚するまでの逡巡もふくめて、重大さをあんまり感じさせないのだけど、それでいてストーリー上の大きな転機になりそうだ。

 しかし杉本先輩はこのままフェードアウトというか退場となるのだろうか? 花嫁さんのいう「一発逆転の秘密」が明かされていない気がするのだけど。これだけ事態を引っかき回しておいて、あっさりいなくなられるのは何か物足りないというだけなのだが。
 杉本先輩の横恋慕って、ジラールのいう「欲望の三角形」のそのまんまの例だよなぁとか考えるのは、冷たい見方だろうか。実際には四角形だったわけだが、仮に彼が姉の恋人でなくても、先輩はこれほど恋焦がれただろうか? そんなことはあらゆる恋愛に、多かれ少なかれ当てはまるといわれるかもしれないが、いわく「冴えない男」があそこまでモテる理由もしくはカラクリなんてそれぐらいしか思いつかない。
 まあ先輩自身が失恋を経て成長できたと思うなら、それはそれでよかったんじゃないかな……ふみちゃんは傷ついたけど。ふみちゃんの女運のなさにはホント涙が出てくる。

 個人的には、あーちゃんのお兄さんと康さんの対比の構図も面白かったりで、実は百合とは関係ない部分に目が向きがちだったり。ふたりともいい味だしてるよなぁ。
 しかし「織江さんと日向子さん」が素晴らしすぎて、「そうよね! そういうこともあるよね!」と力強くうなずいてしまったのは秘密だ。あー、あーちゃんとふみちゃんもゆくゆくは、ああいう良い感じのカップルになってほしいんだけどな! そう簡単には運ばないだろうけど……


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